平成25年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第1章 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援

第2節 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保

2 .表示・規格・計量の適正化を図るための施策

( 1 )食品表示の信頼性確保

ア.食品表示一元化の取組

食品一般について、その内容に関する情報の表示ルールを定めた法律として、現在、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法があります。これら3法に基づき複数の表示基準が定められ、それらの基準に従って表示が行われていますが、制度が複雑であるとともに、用語の定義が異なるなどわかりにくいものとなっていました。このため、一元的な法律を制定することにより、3法の複雑なルールを統合するなど食品表示に関する包括的かつ一元的な制度を構築するため、消費者庁では2011年9月より、学識経験者、消費者団体、事業者団体等で構成される「食品表示一元化検討会(座長:池戸重信宮城大学特任教授)」を立ち上げ、2012年8月に報告書を取りまとめました。

同報告書では、食品表示は、消費者の安全の確保や自主的かつ合理的な選択の機会の確保など消費者基本法に掲げられた消費者の権利の実現を図る上で重要な役割を果たすものであることを前提として、食品表示の一元化のための新法の立案に向けた基本的考え方を示しています。

また、これまで事業者の任意とされていた栄養表示に関しては、近年の生活習慣病等の増加、その対応策としての適切な食事と運動の重要性、海外における栄養表示の義務化の動き等を踏まえ、栄養表示を事業者に義務付けることが適当とされました。

こうした報告書の内容をもとに、食品表示を一元化する法律の立案を行い、2013年4月5日に「食品表示法案」として閣議決定し、国会に提出しました。

イ.食品の原産地等の表示の適正化

食品の原産地表示は、食品を選択する際の目安として、消費者の関心が高い項目の一つです。国内で製造・加工される加工食品については、一部の品目を除いてその原材料の原産地を表示する義務がなく、例えば、生鮮食品である牛肉には原産地表示がされているのに、牛肉にタレをかけた味付けカルビには原産地表示がないといった状況が、消費者にとってわかりにくい表示の一つとされていました。

このため、「食品の表示に関する共同会議」において、原料原産地表示の選定要件が定められ、2004年9月に生鮮食品に近い加工食品(20食品群)について原料原産地表示の義務対象品目を大幅に拡大しました。その後、2007年10月に「緑茶飲料」「あげ落花生」、2011年3月に「黒糖及び黒糖加工品」「こんぶ巻」が追加され、現在22食品群、4品目について原料原産地表示が義務付けられています。

また、原料原産地表示の拡大の進め方について、消費者庁の食品表示一元化検討会(2011年9月~2012年8月)において、これまでの「品質の差異」の観点にとどまらず、新たな観点から原料原産地表示の義務付けの根拠とすることについて議論を進めましたが、合意に至らず今後の検討課題として位置付けられることとなりました(2012年8月同報告書公表)。

一方、2008年9月、非食用として流通したいわゆる事故米穀が食用に不正転売され、米菓や焼酎等の原材料に紛れ込み、加工された商品が一般に流通していたことが明らかとなり、農林水産省の「米流通システム検討会」での検討を踏まえ、2009年4月に米トレーサビリティ法が成立しました。同法では、対象事業者に、2010年10月から取引等の記録の作成・保存が、2011年7月から原料米に関する産地情報の伝達が、それぞれ義務付けられました。

具体的には、小売店等で販売されている米飯類、だんごや米菓、清酒、焼酎等、米を使った加工品については、容器・包装や店頭等に原料米の産地が明記、又は産地情報を知ることができる方法(ホームページや電話番号等)が記載されているので原料米の産地を知ることができます。また、外食店で提供される米飯類については、店内掲示、メニューへの記載、店員への問い合わせ等の方法で知ることができます。

このほか、BSE(牛海綿状脳症)や食品の偽装事件の発生、輸入農産物からの基準を超えた残留農薬の検出などにより、消費者の食品の原産地に対する関心が高まっています。

このような中で、外食の場面でも原材料の原産地表示を求める声が強くなっています。外食が身近な食の場として一層安心して利用され、外食産業においても消費者との信頼関係を高める観点から、農林水産省では、2005年に外食事業者が自主的な原材料の原産地表示に取り組むための指針を策定し、これらの取組を推進しています。また、原料原産地表示の一層の普及を図るために、事業者の自発的な取組に加え、2011年度に業界関係者による検討会を6回開催するとともに、原料原産地表示に係る研修会を4回開催、コンプライアンス確立に関する研修会を3回開催するなど、業界関係者の人材育成を行っています。

ウ.栄養成分の表示の適正化

我が国の栄養表示制度では、一般に販売される食品について、栄養成分や熱量(エネルギー)に関する表示をしようとする場合に従うべきルール(栄養表示基準)を定め、栄養表示をするかどうかは事業者の任意とされています。

消費者庁設置以降、消費者の健康づくりに資するような食品選択を支援する観点から、トランス脂肪酸130)等の脂質を始めとする栄養成分の表示の在り方について、検討を進めています。具体的には、2010年12月より「栄養成分表示検討会」を立ち上げ、健康意識の高まりや健康の保持増進の観点から、商品を選択する際に栄養表示を確認したいという消費者意識の高まりや、諸外国における栄養表示の義務化などの動向を踏まえ、栄養表示の義務化に向けた報告書131)を取りまとめました(2011年8月)。同報告書では、栄養表示について、事業者にとって実行可能な表示方法や、消費者にとってわかりやすく活用しやすい表示方法、国民への普及啓発等について検討がなされ、必要な措置が講じられることを前提に、栄養表示の義務化を目指していくことが適当とされました。

また、食品表示一元化検討会においても議論され、栄養表示について、原則として全ての加工食品を対象に義務化することが適当と位置づけられました。

今後、消費者庁では、幅広い食品に栄養表示が付されるように、現行の栄養表示基準の改正を行うとともに、事業者が自主的に栄養表示を行うことができるように、公的なデータベースなどの支援ツールを作成することとしています。また、消費者が栄養表示を活用し、栄養バランスのとれた食生活を送ることができるよう、栄養や健康に関する情報について普及啓発を推進していくことを予定しています。

このほか、我が国においてトランス脂肪酸を表示する際のルールが存在していなかったことを受け、消費者庁では、消費者に対してトランス脂肪酸など脂質に関する情報が正しく伝わるように、2010年9月にファクトシートを作成しました。さらに、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」132)(2011年2月)を公表し、事業者が積極的にトランス脂肪酸に関する情報開示を行うことができるような取組を推進しています。

エ.食品の期限表示の周知徹底

食品の期限表示には、品質が急速に劣化する食品に対して安全性を欠くことになるおそれがない期限としての「消費期限」と、比較的品質が劣化しにくい食品に対して品質の保持が十分に可能である(おいしく食べられる)期限としての「賞味期限」があります。この期限表示は、それまで「製造年月日」の表示であったものを、国際規格との調和を求められたことや、食品を見ただけではいつまで日持ちするか分からないなどの理由により1995年に改められたものです。

消費者庁設置以降、期限表示の貼り替えをめぐる事案が新聞等で頻繁に取り上げられており、消費者の食品に対する不信感が大きくなっていたことなどから、消費者庁では、消費者や事業者の問題意識を収集・整理するため、期限表示に関する意見募集や意見交換会を実施し、「加工食品の表示に関する共通Q&A(第2集)」(2011年4月)の改正を行うなど、期限表示制度の運用の改善を図っています。

オ. 遺伝子組換え食品及び食品添加物の表示の適正化

遺伝子組換え食品とは、農作物等に有用な性質を与えるため、他の生物の遺伝子を取り出して、新たに組み込む技術を活用し、新しい品種改良の手段として利用した農作物とその加工食品のことをいいます。品種ごとに科学的な評価が行われ、安全性が確認されたものだけが輸入や流通等を認められ、その遺伝子組換え農作物とその加工食品について、食品衛生法及びJAS法の規定に基づき2001年4月から表示が義務化されています。

2011年には、パパイヤ及びパパイヤを主な原材料とする食品が追加されました。現在では、大豆、とうもろこし等8種類の遺伝子組換え作物及びその加工食品である33食品群に表示義務が課されています。

食品添加物は、食品の製造の過程において味を調えたり、長期保存を可能にしたり、色や香りをつけるなどのために使用する物質です。食品添加物を使用した場合、食品衛生法では、原則として全ての食品添加物の物質名を表示することが義務付けられていますが、例外として、保存料、酸化防止剤、防かび剤などのように消費者の関心が高いものに対して目的の併記をさせるものや、酸味料、乳化剤(水と油を均一に混ぜ合わせるもの)等、一括名で表示することができるものもあります。なお、最終的に食品に残っていないものなどについては、表示しなくてもよいことになっています。

消費者庁では、厚生労働省が安全性を確認し、新たに食品添加物として指定したものに対して、その表示方法に関する通知の改正を行っています。

カ.健康食品の表示等の情報提供

消費者庁では、2009年11月から2010年7月まで、「健康食品の表示に関する検討会」を開催し、同年8月にその論点整理を取りまとめたところです。この論点整理を踏まえ、新たな成分に係る保健の機能の表示を認める可能性の検討に当たっての基礎調査として、2011年度に「食品の機能性評価モデル事業」を実施し、文献等を用いて食品成分の機能性評価を行う場合の主な課題を示しました。

また、2011年6月に「特定保健用食品の表示に関するQ&A」を公表し、容器包装の表示だけでなく広告を含め、具体的に違反のおそれのある事例とその考え方を示しました。さらに、特定保健用食品の審査の透明性、公平性の確保のため、2012年度に「特定保健用食品の審査基準の検討事業」を実施しました。本事業の結果を受け、2013年度に特定保健用食品の申請上の留意事項に関する通知改正を予定しています。

このほか、健康食品の執行の強化として、2010年6月以降、通年的にインターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する監視を行い、健康増進法に違反するおそれのある表示について、事業者に対し改善要請を行うとともに、薬事法所管の厚生労働省担当部署との間で、連絡会議を設置し、連携を深めています。

2013年2月以降は、景品表示法所管と健康増進法所管の一部職員を相互に併任させ、両法の特性を活かした執行が行える体制を整備しました。健康や栄養に関する健康増進法に基づく健康食品等の表示については、2012年5月に消費者向けパンフレット(「おしえてラベルくん」)を作成し、制度の普及・啓発に取り組みました。同パンフレットでは、栄養表示のみではなく、栄養成分の含有量が規定の範囲内にある食品について、栄養成分の機能表示ができる規格基準型の栄養機能食品制度や、食生活において利用することで、特定の保健の目的が期待できる旨の表示ができる個別評価型の特定保健用食品制度についても紹介しています。

キ.食品表示の監視

JAS法に基づいて実施する地方農政局等の職員による食品事業者に対する巡回調査(年間約3.7万件)については、当該事業者の表示違反の状況等を踏まえ、調査対象を重点化するなど、監視業務の実効の確保を図っています。

また、独立行政法人農林水産消費安全技術センターによる科学的な検査手法(分析件数は年間約6,000件以上)を活用した食品表示の監視を強化するため、地方農政局等の職員が行う巡回調査の一部について、同センターと合同による立入検査を実施しています。

ク.食品表示に関する関係機関の連携

食品表示に関する取締りに関しては、「生活安心プロジェクト 緊急に講ずる具体的な施策」(「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合了承(2007年12月17日))において、不適切な食品表示に関する監視を強化するため、関係省庁の間で「食品表示連絡会議」を設置するよう決定されました。同会議は、関係機関の連携の促進として、不適正な食品表示に関する情報が寄せられた場合に、必要に応じて関係機関で情報共有、意見交換を行い、迅速に問題のある事業者への処分等の必要な対応を講じるとともに、こうした対応が円滑に実施されるよう関連情報の共有を進めることを目的としています。

2008年2月に第1回食品表示連絡会議が開催されてから、これまで6回開催されており、2011年6月の第6回会議では、食品表示監視協議会の強化に向けた取組について確認するとともに、各省庁における東日本大震災を受けた食品表示の運用状況について情報共有がなされました。


130)

マーガリンやショートニング等の加工油脂や、これらを原料として製造される食品のほか、自然界では牛など の脂肪や肉等に含まれる脂肪酸の一種。

131)

これを受け、前述の食品一元化の検討の中で、消費者側・事業者側双方の環境整備を表裏一体に論ずるものと して、栄養表示の義務化に関する基本的な考え方を示している。

132)

指針の概要は、次のとおり。①トランス脂肪酸の含有量の表示をする場合は、栄養表示基準に定める一般表示 事項に加え、飽和脂肪酸及びコレステロールの含有量を併せて表示する。②認められる誤差範囲は、プラス 20%。③食品100g当たりのトランス脂肪酸の含有量が0.3g未満である場合には0gと表示しても差し支えない。 ④「低減された旨」の表示をする場合は、比較対照する食品名および低減量又は割合を表示する。

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