平成25年版消費者白書

第2部 消費者政策の実施状況

第1章 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援

第1節 消費者の安全・安心の確保

2 .事故情報の分析・原因究明

( 2 )消費者安全調査委員会の設置・運営

消費者庁の設置以前より、消費者の生命や身体の被害に関する様々な事故が発生していました。しかし、消費者庁設置時に施行された消費者安全法では、事故の原因を究明し、再発・拡大防止のための事故調査を行う仕組みは十分とは言えませんでした。このことは、「消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び消費者安全法案に対する附帯決議(参議院)」(2009年5月28日)において、「消費者事故等についての独立した調査機関の在り方について法制化を含めた検討を行う」とされ、その後の検討課題となりました。

このような背景から、2010年8月、消費者庁は、被害者の遺族や消費者団体を含めた有識者からなる「事故調査機関の在り方に関する検討会」を立ち上げ、関係府省や関係機関の協力も得ながら、同検討会において2011年5月に取りまとめがなされました。

消費者庁は、この取りまとめを踏まえて、事故調査機関として「消費者安全調査委員会」を設置し、調査のために必要な権限等を定める「消費者安全法の一部を改正する法律案」を2012年2月に国会に提出しました。この法律案は、同年8月に成立し、同年10月には一部が施行されて、消費者庁に消費者安全調査委員会が設置されました97)。また、同時に、消費者庁消費者安全課に「事故調査室」が設置され、同調査委員会の事務をサポートすることになりました。

同調査委員会は、内閣総理大臣が任命する7人の非常勤の委員からなる合議制の機関であり、下部組織として、事故調査の実務を担う事故調査部会等が設置されています。同調査委員会は、生命・身体の被害に関する消費者事故等の中から、事故等の発生・拡大の防止及び被害の軽減を図るために原因を究明する必要がある事故を選定し、調査を行います。その際、同調査委員会は、調査権限を行使するなどして自ら調査を行うほか、他の行政機関等により調査が行われている場合には、その調査を評価(活用)して原因を究明します。

また、必要に応じて、被害の発生・拡大防止のため講ずべき施策・措置について、内閣総理大臣や関係行政機関の長に勧告や意見具申を行うこともできます。

2012年10月の設置後まもなく、第1回調査委員会が開催され、「消費者安全調査委員会運営規程」98)、「事故等原因調査等の対象の選定指針」99)などが決定されました。同年11月に開催された第2回調査委員会では、2005年11月28日に東京都で発生したガス瞬間湯沸器による一酸化炭素中毒事故100)、2006年6月3日に東京都で発生したエレベーター事故101)、2009年4月8日に東京都で発生したエスカレーター事故102)を含む5件の事故が調査等の対象として選定され、事故調査部会において調査等が行われているところです。

さらに、調査委員会の設置と同時に、消費者安全法に基づき事故等原因調査等の申出制度が開始されました。この制度は、調査が必要な事故を効果的に捕捉して、被害の発生・拡大防止につなげていくことを目的としており、消費者の生命・身体の被害に関する消費者事故等について調査が必要と思われる場合は、誰でも調査委員会に調査を求めることができます。調査委員会では、2012年10月1日から2013年3月31日までに73件103)の申出を受け付け、調査等の端緒情報として活用しています。


97)

消費者安全法の一部を改正する法律は、消費者安全調査委員会の設置と重大な財産被害に対する措置等を規定し ており、前者は2012年10月に施行、後者は2013年4月に施行された。

98)

調査委員会の議事の手続その他調査委員会の運営に必要な事項が決定された。

99)

調査委員会が事故等の発生・拡大の防止及び被害の軽減を図るために原因を究明する必要がある事故等を選定するにあたり、「公共性」「被害の程度」「単一事故の規模」「多発性」「消費者による回避可能性」「要配慮者への集中」の各要素を総合的に勘案して判断することが決定された。

100)

1980年4月から7月までに製造された半密閉式ガス瞬間湯沸器に関し、不正改造による一酸化炭素中毒の死亡事故が判明した。

101)

2006年6月、東京都港区の共同住宅で、当時高校生の男子生徒が、エレベーターから降りようとしたところ、扉が開いたままの状態でエレベーターが上昇し、乗降口の上枠とかごの床部分の間に挟まれて死亡した事故。

102)

2009年4月、東京都港区の商業施設で、下りエスカレーターの手すりに体を持ち上げられた男性会社員が階下に転落して死亡した事故。

103)

詳細は参考資料を参照。

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