平成25年版消費者白書

第1部 消費者行動・意識と消費者問題の現状

第4章 消費者政策の展開

第2節 消費者政策の主な進展

【生命・身体に影響する消費者事故への対応】

日常生活において事業者から提供される商品やサービスを消費者が安全に使用・利用することは、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営む上で欠かせないものですが、残念ながら商品・サービスの使用・利用に伴う生命・身体に危害を及ぼす消費者事故は毎年発生しています。なかでも、ガス湯沸器による一酸化炭素中毒事故や、エレベーターによる死傷事故など、社会に少なからぬ影響を与えた消費者事故は、消費者庁・消費者委員会の設置や消費者安全法の制定を始めとする消費者行政転換の契機の一つともなっており、こうした消費者事故への対応は消費者行政の果たすべき大きな役割の一つです。

消費者の生命や身体を脅かす消費者事故の再発や被害の拡大を防止するためには、「誰が悪かったのか」を追及するだけではなく、「なぜ起きてしまったのか」という観点から、事故の発生原因や被害の原因を科学的に究明し、得られた知見を再発・拡大防止のための対策につなげることが必要です。事故情報の集約については、2009年の消費者庁設置に伴って施行された消費者安全法により、消費者事故情報を消費者庁に一元化する仕組みができましたが、集約した情報を元に事故の原因究明を行い、再発・拡大防止を図るための知見を得る事故調査の仕組みの構築は発足後の検討課題とされていました。このため、2012年8月の消費者安全法改正により、消費者事故についての公正・中立な調査機関として、同年10月1日に消費者安全調査委員会が消費者庁に設置されました。

消費者安全調査委員会は、内閣総理大臣が任命する非常勤の委員7人80)で構成され、下部組織として事故調査部会等が設置されています。そして、消費者庁に集約された情報や事故等原因調査等の申出などを端緒に消費者安全調査委員会が自ら調査を行う事故等原因調査のほか、他の行政機関等が実施した調査等の結果の評価を行うことにより、事故等の原因を究明します。また、必要に応じて、調査等の結果に基づく内閣総理大臣への勧告を行うほか、内閣総理大臣や関係行政機関の長へ意見具申を行うことができます(図表4-2-1)

消費者安全調査委員会は、2012年10月3日に第1回委員会を開催して以降、毎月1回委員会を開催しています。そして、事故等原因調査等の対象として、エスカレーター事故、ガス湯沸器による一酸化炭素中毒事故、エレベーター事故等これまで5件の事故を選定し、調査等を行っています。

また、2013年2月に発生した長崎県長崎市のグループホームでの火災による重大事故の原因は、製造事業者から、同社が回収を呼びかけている加湿器が火元であった可能性が高いとの発表が行われたことからもわかるように、重大事故を未然に防ぐためには、製品のリコール情報を適切に消費者に提供していくことも必要です。消費者庁では、リコール品による事故を防止するため、関係府省等81)に多岐にわたって存在しているリコール情報を一元的に消費者に提供する「消費者庁リコール情報サイト」82)を2012年4月に開設し、2013年3月31日現在1,731件の情報を掲載しています。

消費者安全調査委員会における事故等原因調査等の流れ


80)

委員のほかに、内閣総理大臣は、必要に応じて、臨時委員、専門委員を任命することができる。

81)

国土交通省、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、総務省消防庁、消費者庁、一般財団法人製品安全協会、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)等。

82)

http://www.recall.go.jp/このサイトには、法令に基づく届出義務のないリコール情報も一部掲載されている。なお、2013年3月に検索機能の強化や対象品の写真掲載を可能とする等のリニューアルを行った。

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