福嶋消費者庁長官記者会見要旨
(平成24年8月10日(金)11:00~11:24 於)消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 どうも2年間お世話になりました。本当に、消費者庁職員はもちろんですけれども、いろいろ御協力、あるいは御支援、あるいは御指導をいただいた全ての皆さんに、心から感謝をしたいと思います。
 今日、ちゃんと記者会見の時間をとれるかどうかも不確定だったので、一応文書も配布をさせていただいています。私はこの2年間、三つの基本姿勢でやってきたつもりです。
 一つは、「常に、生活者としての国民、消費者の立場に立って物事を考え、行動をする」ということです。これは基本中の基本だと思いますが、私にとってこれを妨げるものは何もありませんので、こういった姿勢は貫いてきたというふうに考えています。
 それから二つ目は、ちょっと消費者庁の職員の皆さんにとってはやりにくいところもあったと思いますけれども、やはり「官僚組織の中で異物であり続ける」ということが、民間から来た者の存在意義だと思ってきました。ですから、部下の官僚を非常にうまく使っているという評価も、私は禁物だと思っていました。そういう評価を消費者庁の中で受けるということは、実は部下である官僚にうまく使われているということにすぎないと思っていました。そういう評価を受けること自体、自分へのだめ出しだというふうに思って、異物であり続けることを心がけてきたつもりです。
 それから三つ目は、「声の大きい特定の団体の代弁者にならない」こと。この姿勢も非常に重要だと思っています。これは、私は12年間市長を前にやっていましたけれども、その時からずっと持ち続けている基本的な姿勢です。2番目の異物であり続けるということも、考えてみればそうでしたし、1番目の姿勢も、消費者、生活者というところを市民に置きかえれば市長時代も全く同じでしたので、そういう意味では市長時代と基本的には同じスタンスで消費者庁でも仕事をさせてもらったということだと思います。
 ちょっと話を戻して、声の大きい特定の団体の代弁者にならないことですが、これは特別なことを言っているのではなくて当たり前のことを申し上げているつもりです。消費者団体の中だって、色々な意見があるわけですし、ましてや、この現代社会において消費者、生活者の多様な意見、あるいは多様な利益を一つの団体が、どの団体であっても代表できるはずがないのです。
 ですから、特定の団体の代弁者にならないということでなければ、きちんと消費者、生活者の立場に立った消費者行政というのは、できないと思っています。ただ、これは消費者業界といったら、ちょっと言葉が悪いでしょうけれども、消費者の活動をずっと中央でやっている、そういう領域の外から来た者がこういう姿勢をとると、結構摩擦も起こるのですね。そういった意味で、新長官は、そういった消費者行政、中央の消費者行政のリーダーとしてやってこられた人ですので、むしろあまり摩擦を起こさずに、こういった姿勢を取り得るのではないか、私よりもずっと摩擦を起こさずにきちんとこういう3番目の姿勢をとれる方だと思って、私はそういうことをとても新長官に期待しています。
 それから加えて、2年間の経験を踏まえてこれからの課題だなと思うことをちょっと申し上げておけば、消費者行政の「司令塔」というふうに消費者庁は期待をされています。ただ、最近色々な場でも申し上げていますけれども、消費者行政全体への監視の機能、それから政策立案していく上での審議会の機能、そういったものは消費者委員会のほうにあるわけですね。それから、自治体の消費者相談の現場と直接つながるシステムというのは、国民生活センターのほうにあるわけです。こういったものと切り離された司令塔というのはそもそも存在するのかというと、私は非常に疑問です。
 ですから、司令塔というのは、消費者庁と消費者委員会と国民センターが一体となってこそ、その役割を果たせるのだと思います。どういう組織形態がいいのかというのは、今議論をされているところですので、私が今、退任に当たってどうこう、具体的な話をするつもりはありませんけれども、この三つが一体になって社会全体、あるいは政府全体に働きかけていくということが、とても大事だと思うのですね。
 消費者行政の狭い枠の中で、それぞれ三つが独立性を主張して対立しているということであっては、消費者行政として、特に司令塔としての機能は果たせないと思っています。
 それから、「税金の使い方」というふうに2番目に書いていますが、これは国の行政の宿命かもしれませんが、消費者庁であれば、消費者庁に寄せられる国民の声というのは、消費者行政に深いかかわりを持っている、強いつながりを持っている方からの要望がほとんどということになります。そうすると、とにかく消費者行政予算を増やしてほしいという要望になるわけですね。その要望が間違っているというつもりは全くないのですが、そういう要望が、ほとんどを占めるということになります。
 それからやはりどうしても官僚機構といいますか、行政というのは自分のお金と組織を大きくしたいという傾向があるように思います。そうすると、どうしても消費者行政の予算を増やすという方向に一方的にベクトルが向いてしまうように思います。
 ですけれども、一方で、今政府の歳出は税収の2倍を上回っているわけですし、その税収を補うために税収を超えるような国債も発行しているわけですよね。こういった現実をきちんと私たちは頭に置いて予算も使っていかなければいけないだろうと思います。今の消費者のことだけを考えて、将来の国民、将来の消費者にツケを回してはいけないだろうと思います。ですから、予算はもう本当に、真に必要なものを、徹底して効率的に使っていくという姿勢が大事だと考えています。
 特に、地方消費者行政は、ただお金を回せば充実するというものでは全くありません。消費者の生活全体をきちんと直視し、地域の総合的な消費者力を高めていく、そういう支援をしないといけないし、そういう立場で自治体と対等な連携をつくり出していかなければいけないだろうと思います。
 それから三点目に人材の育成です。やはり消費者の視点ですとか、色々な専門性を消費者庁に蓄積していくためにはプロパーの職員が必要だ、消費者行政を専門にずっとやっていく職員が必要だということを痛切に感じました。
 今年、御存じのように、消費者庁初めての職員の独自採用を1人、たった1人ですけれども、やりました。また、他の府省から出向している職員の中でも、一定数の消費者行政を中心にやっていく職員をつくっていくのだという方針も決めて、これらに踏み出しました。これは小さな一歩ですけれども、私は大きな意味を持っていると思います。
 それから、いわゆるキャリア制度というものがあります。入った時の試験の職種で公務員人生の基本が決まってしまうというような制度は改めなければ、消費者目線ですとか国民の視点というものは、非常に形成されにくいだろうというふうに思います。やはりキャリアというふうに言われる人たちは、どうしても国民を導くという発想になるように思います。国民のためにやろうという意識はあるのですが、その中身というのは国民を正しく導いてあげるという意識にどうしてもなりがちだと感じました。本当に国民を主権者として、本気で捉えているかというと、こういうキャリア制度というのは、そういうところを非常に困難にしていくというふうに思います。
 それからもう一つは、キャリア制度というのは、やはり多くの国家公務員の能力の発揮を妨げているように思います。政府全体も、それを改めるという方向になっているはずですけれども、消費者庁として改めて、能力、実績に基づく人事管理というものを掲げました。これが今後、確実に実行されていくということを期待をしたいと思っています。
 色々申し上げましたけれども、消費者市民社会に向けて、行政だけではだめですから、色々な分野の民間の活動と連携をしながら、消費者行政が前進をしていくことを心から願っています。私としてはこれから民間人の立場で、微力ですけれども、また協力できたらいいなと考えています。
 以上です。

2.質疑応答

読売新聞の畑ですけれども、やり残したことはありますか。
やり残したこと、それは山ほどあります。今申し上げたことも、司令塔、あるいは税金の使い方、あるいは人材の育成、それぞれまだ緒についたばかりですので、やり残したことはいっぱいありますが、やり残したことをやり終わるまでやるということになると、一生やらなければいけません。私はもともと2年以上やるつもりはありませんでしたので、次の長官にきちんとバトンタッチして、次の長官の活躍を期待しています。
日本農業新聞の鈴木と申します。
 食品表示一元化検討会で、原料、原産地表示とか遺伝子組み換えは、消費者からもかなり要望もあったと思うのですけれども、それが別の事項として位置づけるということで、実質先送りになったかと思うのですけれども、その辺について長官の御見解を伺えればと思うのですが。
あまり中身の話は、今私の立場でするのがいいかどうかというのはありますが、とにかく大議論を続けてきました。12回ですかね。その12回も、そもそも予定時間を3時間でセットし、かつ大幅に時間延長が毎回続くというような、本当に大議論をしたわけですね。その中で、あのまとめができました。
 消費者団体の皆さんも含めて、そこに参加していた皆さんの一定の納得感はあると思います。かなり意見が違う人たちが議論をしましたので、全ての人が全部、全てのところに賛成だという話にはならないでしょうけれども、議論したまとめとしての納得感というのは持ってもらっていると思うのですね。
 そういった意味で一切り、まず区切りはつけられたかなと思っていますが、これからがまた勝負ですので、検討会のまとめとは別にこれから議論することも含めて、これからしっかり新長官の下で取り組んでいくと思います。そういうことを期待をしています。
TBSの伊東です。
 2年間という任期がもともと決まっていたと思うのですけれども、そこまでの、この間長官として自分が思い描いた全力での仕事ができたかどうかということと、言いづらいかもしれませんが、自己採点で何点ぐらいだったかということを教えていただけますか。
最初に申し上げた、三つの姿勢でやったということについては、私は自分自身としては貫いたと思っています。ただ、課題は山ほど、先程申し上げたようにあるわけです。課題を全部解決したというふうには全く思っていません。自己採点ということですが、採点は人にやってもらうものだと思っております。
大臣からは、2年を超えて続けるかどうかというような話はあったでしょうか。
一度、大臣ともお話をしましたけれども、私自身、先程も申し上げたように2年以上やるつもりはありませんでしたので、それ以上どうこうということはありません。
今後は、身の振り方はどういうふうな。
私は大学を休職していますので、明日からは復帰することになります。でも、学問の世界で生きていくという話ではなくて、大学に籍を置きながら、地方自治のフィールドでやり残したこと、やりかけのことがいっぱい、そっちもありますので、またやっていきたいと思います。それは消費者行政とも当然つながっていきます。
 地方分権と言われると、何か国から突き放されたような気分になるなんていうことを、地方消費者行政の担当者が言っていたのでは、消費者行政というのは前進しないと思うのですね。地域で生活している消費者は困ると思うのです。ですから、もう一回、自治のフィールドで、きちっと自治をつくっていくという仕事をやりたいなと思っています。
テレビ朝日の内田と申します。
 この文書にもあるのですけれども、この2年間で印象に残ったことをもう一度改めてお聞きしたいのと、この2年間長官として過ごしてきた中で、これは成果があったなとか、やれたなということを何かあればお聞かせください。
そうですね。文書にも書いていますけれども、何といっても、やはり東日本大震災というものが一番大きかったと思います。そういう中で、消費者庁も色々な格闘をしてきたわけですけれども、食と放射能の問題について、検査機器を自治体にお貸しをしながら、消費サイドでもう一度、安全を確かめていくという取組、あるいはリスクコミュニケーションの取組、これらは消費者庁らしい取組ができたというふうに思っています。過去形ではなくて今も継続しているわけですけれどもね。
 最後に印象深かったのは、何といっても東京電力の料金の問題でしょうかね。これも一定、消費者庁の存在価値を示せたかなと思っています。大臣も先頭に立ってやってもらいましたし、消費者庁の担当職員も本当に頑張りましたので、一定の存在感を示せたと思っています。
国民生活センターの問題は、結局、2年間ずっと引きずって、消耗戦を続けているという、両方にとってもすごく優秀な人材がそこに割かれていて、非常にもったいない気が私はするのですが、当初出した時も、やはり閣議決定に対する消費者庁の関与の仕方にも問題があったのではないかとすごく思うのですが、その辺について長官はどう思われますでしょうか。
ここで相川さんと議論してもしようがないと思うのですが、決して、今までずっと議論されてきたことが無駄だというふうには思っていません。
 昨日も消費者政策検討会議を国センとの間で開きましたけれども、国民生活センターと一緒になって取り組んでいくという色々な仕組み、それからそこでの意識合わせというのは、2年前から比べると大きく進んだと思っています。それはタスクフォースから始まった議論の成果だと私は思っています。
 今後、どういうふうにまとめていくのかというのは、次の長官の下でやるわけですけれども、いずれの形になっても、私はこれが無駄だったとは思いません。人事面でも、安全課長として商品テスト部長に来てもらって、そういう関係もそういう議論の中から生まれてきたということも言えると思います。
国民生活センターの危害情報発信機能の中枢を二人、部長も抜いていったわけですけれども、要するに国民生活センターの危害情報発信は、ただでさえ減っていると。もうそれはしなくていいということを会議の前に決めてしまうというのはおかしくないですか。
しなくていいって決めたって、どこで決まったのかよく分かりませんが、全くそんなことは思っていません。消費者庁と連携を強めることによって、国民生活センターの機能も発信力も更に高めていってもらいたいし、それが可能だと思っています。
阿南新長官にエールというか、こういうところを頑張ってほしいというのを、課題は課題であるわけですけれども、こういうふうなところで頑張ってほしいというようなものがあったら教えてください。
そうですね。ずっと消費者活動を、本当に日本の中心で担ってきた方ですから、そういった経験を是非生かして、消費者庁がよりきちんと消費者の立場に立てるように引っ張っていっていただきたいと思います。
 先程言いましたことですけれども、消費者の立場にきちんと立つということは、声の大きい団体の言うとおりになる、言いなりになるということではないのですね。それを、リーダーシップを発揮してやってもらえる人材だと思いますので、そういった意味でもとても期待をしています。
読売新聞の上原です。
 先程お話にもあったように、消費者行政の専門職員の育成がまだ緒についたばかりだと。そんな中、新しい職員の採用も行われたわけですけれども、改めて今、消費者庁で消費者行政に携わっている職員の方々に、どういった視点で、どういう仕事をすることが消費者目線に立った消費者行政の根本をつくっていくことになのだというようなメッセージが改めてあれば教えていただきたいのですけれども。
大きな政策議論ももちろんですけれども、日頃の小さな一つ一つの仕事、全てについて、消費者にとってどうすれば利益になるのかを考えてやっていくということだと思うのですね。大きな話だけではなくて、本当に一つ一つのことがどうやったら消費者に伝わるのか、どうやったら消費者に必要なメッセージが届くのか、あるいは一番伝えないといけないメッセージは何なのかということを、本当に毎日の一つ一つの仕事で考えることから始まると思いますね。是非そういった方向にいってほしいし、今の消費者庁の職員は、そういう力を持っていると期待をしています。
 どうもお世話になりました。ありがとうございました。

長官会見配布資料

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