阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成26年8月6日(水)14:00~14:28 於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

  こんにちは。私からは3点あります。
  まずは、北海道電力家庭用電気料金の値上げ許可、認可申請に関する意見交換会の開催についてです。
  7月31日に北海道電力から経済産業省に対して家庭用電気料金の値上げ認可申請が提出されました。本件につきまして、消費者庁は9月2日に消費者及び消費者団体の皆様の意見を直接聞くため、札幌市におきまして意見交換会を開催いたします。
  本日から消費者庁ウェブサイトで意見表明希望者及び傍聴希望者の募集を開始し、8月26日まで受け付けます。
  電気料金の改定は国民生活に与える影響が大きいことから、消費者の意見にしっかりと耳を傾けた上で消費者利益の擁護の観点から対応してまいりたいと考えております。
  2点目です。特商法関連被害の実態把握等に係る検討会についてです。
  本日、特商法関連被害の実態把握等に係る検討会の報告書を公表いたしました。これは、平成20年に改正された特商法の施行の状況やその後の社会変化等を踏まえ、特商法関連の消費者被害の実態把握と課題の整理を行うため、本年2月に検討会を立ち上げて、有識者による議論を行ってきたものであります。
  その報告書の概要につきましては、担当課長からこの会見の後に説明いたします。
  なお、特商法の平成20年改正法の附則では、本年12月以降に法律の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講じるよう定めております。今後は、今回の検討会での各委員の方々の御意見も踏まえつつ、本格的な検討に向けた準備を進めていきたいと思っております。
  最後です。
  私は、今週末8月9日付でちょうど2年間の任期を全うして退任いたします。そのため、本日は私が記者の皆様の前で行う最後の会見になります。
  これまで皆様からは、数々の厳しい御質問、御指摘もいただきましたが、私自身はそうした御質問、御指摘から学び、考えることもありました。また、この場で私から積極的に発言したさまざまな消費者向けの注意喚起などを記者の皆様が取り上げていただいたことにより、全国の消費者に届き、それによって消費者被害の防止に大いに貢献いただいたのではないかと思っております。
  これまで真摯なおつき合いをいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
  2年前の就任時、私はこの場で次のように述べました。
  消費者庁が消費者行政の司令塔として、消費者事故などの情報収集や分析、対応の強化、そして地方消費者行政の強化、新しい仕組みづくりや課題への対応、そして東日本大震災への対応などに一層しっかりと取り組むよう努めてまいりたい。そうした思いは、この2年間で一定程度実を結んだものと考えています。
  まず、消費者事故などの情報収集や分析、対応強化につきましては、平成24年10月に発足した消費者安全調査委員会の委員長、各委員の方々の御尽力もあり、評価書、ガス湯沸かし器事故の報告書、プール事故、機械式立体駐車場事故を取りまとめ、公表につなげることができました。また、ウイルスプロテクターや白斑が生じるカネボウ化粧品の使用中止など、さまざまな注意喚起を発信してまいりました。消費者安全法等に基づく注意喚起、勧告は計73件に上りました。
  さらに、子供を事故から守るプロジェクトとして、シンボルキャラクターの「アブナイカモ」とそのテーマソング及び踊りを作成し、各地で披露するなど消費者庁の取組の理解促進、発信力の強化に努めてまいりました。
  地方消費者行政の強化につきましては、私が特に力を入れてきた分野です。今年度予算において地方消費者行政活性化基金となる交付金を当初予算ベースで昨年度の5億円から30億円へと大幅に措置いたしました。それを受け、今年1月には消費者がどこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる地域体制を全国的に整備する地方消費者行政強化作戦を取りまとめ、公表いたしました。
  私自身も地方において消費者庁及び消費者行政の理解を深めていただくため、積極的に地方を回ってまいりました。消費者庁の主催する各ブロックの地方消費者グループフォーラムに出席するなど、これまで計46の地方公共団体の首長さんたちと面談したほか、計77回にわたる講演やパネリストとしての説明を行ってまいりました。
  新しい仕組みづくりにつきましては、私の在任期間中、3本の極めて重要な法案の閣議決定を行い、国会で無事可決いただき成立させることができました。このうち、食品表示法及び消費者裁判手続特例法は、長く消費者問題にかかわっていた方々の悲願だった法律であります。私の在任期間中に成立し、多くの方々の期待に応えることができましたので、胸をなで下ろしております。
  また、さきの通常国会で成立した景品表示法及び消費者安全法の改正は、最近の食品表示の問題や増加する高齢消費者の被害防止・救済に対応するものであります。今後、その円滑な施行によって消費者の安全・安心がより一層確保されることを期待しています。
  東日本大震災への対応として、食品中の放射性物質に関するリスクコミュニケーションを338回実施しました。また、リスクコミュニケーター育成研修を68回行い、それによって養成した人数は約3,400人に上りました。また、「食品と放射能Q&A」第8版を約4万部作成、印刷し、全国の地方自治体等に配布いたしました。
  現在、消費者庁では真に消費者目線に立った行政機能を強化するため、消費者行政レビュー、すなわち消費者庁のさまざまな課題の洗い出しとその対応策の検討を行っています。近々大臣からその結果について発表がありますので、しばらくお待ちいただければと思います。
  このように、これまで多岐にわたる困難な課題に積極的に取り組んでまいりましたが、その結果として、今年の消費者白書で取り上げた意識調査の結果にあるとおり、消費者庁は最近になって各施策の認知度が目立って上昇しております。こうした評価をいただいたことをうれしく思うと同時に、私の後任の長官や消費者庁職員には引き続き消費者目線を持って常に消費者に寄り添って考えられる政策を打ち出して、消費者のためのよりよい消費者庁を築き上げていただくことを期待しております。
  また、記者の皆様におかれましては、今後とも消費者庁の取組を叱咤激励していただきながら、消費者庁の職員と一緒になって我が国の消費者行政の発展、ひいては消費者利益の増進のために御尽力いただきますことを切にお願い申し上げて、私からの最後の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
  以上でございます。


2.質疑応答

朝日新聞、小泉です。
  昨日ですけれども、消費者委員会がノンアルコール飲料、トクホの申請について認可すべきではないというふうな答申をいたしました。これについて、長官としての御所感と、あと今後消費者庁としてはどのように対応されていかれるおつもりなのか、お聞かせください。
ノンアルコール飲料2品目については、特定保健用食品として認めることは適当ではないとする答申がなされたと承知しております。消費者庁としましては、今後これら2品目に係る消費者委員会における審議経過、そしてその答申の内容を十分に精査し、消費者委員会から示された懸念も踏まえて健康増進法に基づき必要な判断を行ってまいりたいと考えております。
その関連なのですけれども、これまでトクホでアルコール飲料というのは認められたケースはないですよね。
アルコール飲料はないです。
食品表示企画課長
アルコールが含まれている食品、飲料については、そもそも対象としないと。つまり、関与成分を摂ると同時に、アルコールは人体に有害なこともあり得るので、そういうものは食品の対象からは除きます、という運用をしています。
2年間お世話になりました。お疲れさまでした。
ありがとうございます。
2年間の長官として勤務された中で一番印象に残っていらっしゃる出来事、問題というのはどういったものがございますでしょうか。
いっぱいあるのですけれども、特に大きな問題で消費者庁が必死の取組をしたと思っておりますのは、昨年のメニュー表示、虚偽表示問題です。消費者庁自身にとっても非常に大きな課題だったと思いますし、問題が全国的になったこともあって、ほかの省庁にもかかわる政府全体の取組になりました。ですが、何とか皆さんの御協力を得ながら頑張り抜くことができたと、大変印象に残っております。
消費者行政の扇の要というか、「司令塔」という表現が何度かなされたことがあったと思うのですけれども、今おっしゃったメニュー虚偽表示問題では司令塔としての役割は、果たせたというふうにお考えでしょうか。
私は一定、司令塔としての機能は果たせたと思います。といいますのも、非常に問題が大きかったこともあって、ほかの関係府省庁にも全部集まっていただいて一緒に取組を進めました。例えば、ホテルですと国土交通省の観光庁の所管になりますし、旅館ですと厚生労働省の所管になります。そのように、関連するところに全部集まっていただいて全国調査もしましたし、その調査をまとめて適正化対策パッケージというものを作成いたしました。そしてそれが、今回景品表示法の改正につながっているわけですけれども、そうした意味で消費者庁は関係府省庁の協力をいただきながら、連携のかなめになって司令塔としての機能を発揮することができたのではないかと考えております。
長官、この長官になる前は消費者団体のほうで活動されていたかと思います。またちょっと毛色の違うところに来られて、御自身の過去のキャリアというのは生かせたというふうにお考えでしょうか。
そうですね。私は消費者団体におりまして、さまざまな消費者問題に取り組んでいました。そういった点でいいますと、いわば現場でいろいろな消費者問題に携わってきた経験というものを消費者庁に入って生かすことができたのではないかと思っています。
  あわせて、私が最初に来いと言われたときに頼まれたのは、消費者庁の職員の消費者目線を育ててほしいということでしたが、その点についても、消費者団体でやっていたときの組織運営ですとかの経験を生かすことができたのではないかと思っています。私が入りました当時は、消費者庁の大体の構成がほかのいろいろな省庁からの寄合所帯でした。それで仕事をしていたわけですが、消費者庁内でうまく連携をとりながら仕事ができていたかというと、必ずしもそうではなかったと思いますし、当時は国民生活センターの問題もありましたし、地方自治体との関係も非常にぎすぎすしておりました。さらに、消費者団体との信頼関係も非常に希薄になっていました。そうした状況の中で、私が内部で進めた“信頼の醸成”といったことがかなり効果を発揮して、消費者庁が大きなネットワークの中で消費者政策を推進していく力にすることができたのではないかと思っています。
逆に、ちょっと聞きますけれども、2年間やって、まだこれはもう少しやり遂げたかったという心残りの部分はございますか。
そうですね。私は消費者団体のときから、地域で活動する消費者団体に対して政府から財政的な支援も含めて、それなりの支援があるべきだと思っていました。EUにおいても、各国の消費者団体に対する援助は非常に大きいものがありますが、そうしたことをずっと願っておりましたけれども、それについては、まだまだ手をつけることができなかったと思っています。
最後に、長官を9日付で退任されるわけですけれども、今後、何らか活動を続けていかれるんだろうなとは思っているのですけれども、消費者行政に携わっていかれるお考えでしょうか。
行政に携わるというよりも、私は消費者団体から来て消費者行政を経験して、この経験を生かしながら、消費者市民社会をつくっていく活動に携わっていけたらと思っております。
すみません、関連ですが、日本消費者新聞の丸田と申しますけれども、先ほどの就任時の発言で御紹介になったんですが、当時、あのときに前任の大臣とか前任の長官のほうから消費者目線、消費者の立場に立って考えるべきということ、それと官僚組織に埋没しない、それとあと特定の団体への利益になるようなことをしないという。それで2つお聞きしたいのですが、長官に最初なられてから職員対象の消費者目線獲得研修というのをされましたね。
はい。
その成果を長官なりにどう思われるかということと、もう一つが官僚組織に埋没しないということ、そういった民間から来たということもあって言われていらっしゃったわけですけれども、一番その関係の中で大変だったと思われるものがあれば、施策とか取組で何かあれば教えてください。
ありがとうございます。
  消費者目線の獲得研修は、早速長官になったときから始めました。これは職員に相談現場に行って、しっかりと研修してくるとか、あるいは企業のお客様相談窓口へ行って学んでくる、さまざまな地方の消費者活動に参加するとかということを奨励してきました。現在も続けていまして、今年で3年目になります。
  その結果、職員からは、出かけていって学んだことが物すごく自分のためになったという感想をたくさんもらっています。暮らしの現場、消費者活動の現場で得たことが、現場の声を聞いて消費者施策を推進していく、自分の仕事に生かしていくということにつながっていったのではないかと思っています。
  それと官僚組織への埋没という件ですけれども、埋没しましたかね。どうでしょうか。何かそのままでいたような気がするのですけれども。お役所に来て一番大変だったことは、今までずっと培われてきたお役所文化というものを何とか変えようとしたことでした。それは、前例主義ということや、独特の難しいお役所言葉ということにあらわれていまして、その辺はなかなか理解するのも結構大変でした。でも、消費者庁内部で信頼関係をつくっていく、各部署に横串を刺していくという中で、そのお役所文化を消費者庁の文化、つまり、消費者庁が創設時の理念に基づいて求められている機能を発揮していくという、新しい消費者庁の文化をつくっていきたいとと思ってやってきました。
  長官になってすぐに、各課の若手の中心メンバーである総括補佐の方たちに集まってもらって、「チーム阿南」というものをつくりました。そこでは、今何が消費者庁で問題なのかということについて、ワーク・ライフ・バランスの問題も含めてどんどん意見を出してもらって、ここをこう変えたらいいといった議論を継続してきました。そして、1年目はお役所文化の見直しについて考え方をまとめ、官房にも提出しておりますけれども、これに続く取組として、消費者庁が5年目に入る昨年9月には、「消費者庁の使命と職員の行動指針」を議論して策定しました。それは、今までのお役所文化とは違う消費者庁の新しい文化だと考えています。この「使命と行動指針」を胸にしっかりと刻みつけて、職員の皆さんは仕事をしていっていただきたいと思っております。
  本当に風通しのいい、みんなで協力し合える、前向きに積極的に仕事ができる、そういう職場風土、文化が最も大事だと思います。
日本消費経済新聞、相川です。長い間お疲れさまでした。
ありがとうございました。
外から消費者庁を見ていたときと中に入って2年間やってみて、何か自分が今まで感じて、ほかの消費者団体の方とか外の方に伝えておきたいこととかあるのでしょうか。
  それと、消費者団体から入ったからこそできたというのが、さまざまなことを言っていた、聞こえていたのですが、こういうことではないかなというふうなこと。それから、民間団体からこの辺が難しかったというふうなことが何かありましたらお教えください。
外から見ていたときは、消費者庁はお役所ですから、先ほど言いましたようなお役所というのは、決まったことをやっていくところ、余りいろいろな消費者団体だとか消費者の意見を積極的に聞いて、現場の声を聞いて、地方自治体の意見を聞いて仕事していくというような非常にフラットな関係にあるところではないと思っていました。
  でも、実はそうではなくて、消費者庁で仕事している人たちのそれぞれがみんな思いを持っているのだけれども、それがうまく機能していかない、その思いが共有されないために、そうしたことができないんだなと思いました。
  ですから、上から目線でなく、例えば地方自治体なんかで言いますと、消費者行政を一緒に進める立場でお互いを認めあって、現場を踏まえたディスカッションをしながら、消費者庁の政策をつくり上げていくといった努力をしました。そして、そこはやればできると思いました。
消費者団体から入ってからこそ、これはやったよ。それと、ここはやっぱり民間から入ったら、なかなかハードルが高かったということは。
感じないだけかもしれないのですけれども、ハードルが高かったというのはないかもしれませんね。私が消費者団体から入ったからこそできたというのもなかなか識別できませんし、わかりません。ただ、消費者団体での経験をそのまま共有するために内部で努力してきたということです。
  消費者庁は、さまざまな施策を推進していますが、私は、それらについて、毎日毎日各課からレクを受けています。こうしたい、ああしたいと説明されるわけですが、中には、とても難しい言葉遣いで、ちょっとわかりにくくて、消費者にどうやって説明するのって、疑問に思うことが結構ありました。ですが、そこは私の消費者団体、民間から来たいいところだったかもしれませんが、これわからないよということを素直に言う。私がわからなければ、一般の消費者の皆さんだってわからないことがあるのではないかと率直に言ってきました。職員とすれば、何てわからない頭の悪い長官だろうと思ったこともいっぱいあったと思いますけれども、そうしたやりとりの中で、平らな、本当に消費者に寄り添う消費者庁の姿というものをお互いに共有することができるようになってきたのではないかと思います。職員はどうでしょうか。
ちょっと特商法に絡めてなのですが、今日報告をまだ受けていないのでわからないのですが、消費者委員会と非常に意見が対立していたところに指定制の廃止という問題があるのですが、それについては今回触れられているのでしょうか。それと、阿南長官はそれについてはどのように思われてきていらっしゃいますでしょうか。
そうですね。それもちゃんと議論すればいいと思うのです。今回、指定権利制の廃止と訪問販売等への不招請勧誘禁止規制については検討しておりません。といいますのも、今回の検討会は、特商法関連被害の実態把握を目的としたものでした。ですので、現実の被害をいろいろいっぱい出してもらって、それで次の本格的な検討への準備をしたという段階です。後ほど課長から話を聞いていただければと思います。
読売の崎田です。
  冒頭でも触れていたのですけれども、後任の長官に対してアドバイスというか、期待するところをもう少し教えてください。
後任の板東さんは、文部科学省で生涯教育ですとか、男女共同参画の問題ですとかに取り組んでこられました。また、たしか秋田県の副知事も経験されていらっしゃいます。ですから、そうした経験を消費者庁の施策の中に生かしていただければと思っています。
  特に消費者庁は、これから消費者教育推進の地域協議会づくりですとか、消費者安全法に基づく地域協議会の見守りネットワークづくり、というところが非常に重要になってきます。具体的に地方で展開していくことになりますので、そうした経験をうまく生かして力を発揮していただければと思います。
  先日、ちょっと板東さんとお話しする機会がありました。板東さんも地方に出かけることや、地方の意見を大切にしていきたいとおっしゃっていましたので、期待したいと思います。

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