阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成25年12月25日(水)14:00~14:31 於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

  こんにちは。
  今年の最後の会見となりました。これまでお世話になりました国会議員の方々を初め、消費者団体、そして研究者、事業者、弁護士、関係省庁、そしてマスコミの皆さん、特に消費者庁に期待して応援していただきました全国の消費者の皆さんに対して、改めて心からお礼を申し上げたいと思います。
  今年1年を振り返りますと、長年の懸案事項を着実に前進させることができた1年だったと考えております。
  まず、今年6月、食品表示法が成立いたしました。これは食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品表示に関する規定を統合して、食品表示の包括的かつ一元的な制度を創設するものであります。また、12月には、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律が成立しました。これは、費用や労力などの問題から訴訟手続をためらって、泣き寝入りしてきた消費者の被害回復を可能とする制度であります。
  それぞれ消費者行政における長年の課題であり、それらの成立は大変意義深いものと考えています。今後は、それぞれの施行に向けて、法律の周知や基準、ガイドライン策定などに取り組んでまいります。
  また、国民生活センターのあり方につきましては、その各機能を最大限発揮するために、業務運営、人事面での独立性や機動性、柔軟性を有することが重要であるということから、独法改革の趣旨を踏まえて、中期目標管理型の法人とすることとなりました。今後とも、国民生活センターとの緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。
  このほか、昨年10月から消費者安全調査委員会が立ち上がり、1年が経過しました。畑村委員長を初め委員の方々には、これまで精力的に御審議いただいております。
  また、関西電力、九州電力、東北電力、四国電力、北海道電力、それぞれの電気料金値上げ申請に対し、意見交換会等を通じて、消費者の意見、声を反映してまいりました。現在、中部電力の電気料金値上げ申請がありますので、引き続き対応してまいります。
  さらに、今年度から物価モニター調査を開始いたしました。この調査を通じて、生活関連物資等に係る物価動向を把握、監視してまいります。
  消費者教育の面では、消費者教育の推進に関する法律に基づいて、消費者教育の推進に関する基本的な方針を6月に策定いたしました。現在、消費者教育推進会議の下の三つの小委員会において、具体的な検討に向けた議論を行っているところであります。
  加えて、この4月から施行されました改正消費者安全法に基づき、消費者の財産被害に係るすき間を狙った悪質商法に対して、先般、初めて勧告を実施いたしました。
  次は、予算、体制面についてです。
  昨日、閣議決定されました消費者庁の平成26年度予算案の総額は、一般会計、復興特別会計を含めて122億円となり、消費者庁が設立されて、初めて予算規模が100億円を超えることになりました。特に、地方消費者行政活性化交付金を当初予算で30億円措置できましたことは、今後の消費者の安全・安心確保の取組を計画的かつ安定的に行っていく上で、重要なことであります。
  また、約200名の体制で始まりした消費者庁は、ようやく300名を超える定員を確保いたしました。このように、消費者庁を組織面で充実、強化できたことは、消費者行政における大きな成果であると考えています。
  さらに、今年は積極的に地方に出向いて現場の声を聞いてまいりました。私自身も計41回、全国27の地方自治体を訪問いたしました。これまでに直接ご来訪いただいた方を含めて計21の知事、副知事、市長、副市長と面会の機会があり、消費者庁との良好な関係を築くことができました。
  来年に向けては、特に二つの大きな課題があると考えています。
  一つは食品表示等の問題です。12月9日に取りまとめました対策パッケージに基づいて、景品表示法の改正を含めて、食品表示等の適正化に向けて取り組んでまいります。
  もう一つは、地域における高齢者等の見守りネットワークの構築及び消費生活相談の基盤強化であります。消費生活相談員を職として位置づけること、また、新たな相談員資格を創設することなどについて、法的措置を含めた検討を行ってまいります。
  来年も、消費者の皆様、関係各位の期待に応えられますように努めてまいりたいと思っております。
  今年の9月、消費者庁設置5年目を迎えるに当たって、消費者庁の使命を発表いたしました。その使命では、消費者行政のかじ取り役として、消費者が主役となって安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現するということをうたっております。
  今後とも、消費者庁職員一同、様々な課題に積極的に取り組んでまいりますので、引き続き御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。
  もう1点、年末年始に向けて、私から呼びかけをさせていただきたいと思います。
  年末年始のお休みでは、ふるさとに帰省されて、御家族や友人と話す機会が増える方も多いのではないかと思います。その際、御家族や友人が消費者トラブルに遭われていないか、改めて確認してみてはいただけないでしょうか。御本人が被害に気づかれていない場合も多いため、何気ない会話の中で、必要のないものを大量に買ったりしていないかなどの気づきをもって、トラブルに遭われた方を周りが支えていくことが大切であります。
  消費者庁では、全国どこからでも身近な消費生活相談窓口を紹介する共通の電話番号である消費者ホットラインを開設しておりますので、是非この機会に身近な方々に広めていただければと思います。
  また、先日、注意喚起いたしましたが、年末年始はお餅を食べる機会が増えますので、事故がないように注意していただいて、お正月の食を楽しんでいただきたいと思います。
  さらに、年末年始はおせち料理をつくったり、帰省先や行楽地で御馳走を食べたりする機会もあると思いますので、消費者庁では、まだ食べられるのに捨てるという食品ロスを削減する取組を行っています。皆さんも、おいしい食事を余すところなく味わっていただいて、食品ロス削減に御協力をお願いしたいと思います。
  年末年始を通じて、身近な方々とともに、消費者問題について考える契機としていただいて、家族や友人との絆をより深める機会としていただければ幸いです。
  それでは、よいお年をお迎えください。
  以上です。


2.質疑応答

読売新聞の崎田ですが、来年のテーマのところで景表法の改正について触れられましたけれども、いつごろまでに改正案の中身を固めるのか、スケジュールをお聞きします。
できるだけ急いでやりたいと思っていまして、対策チームを立ち上げて具体的な検討を始めております。時期的にはまだはっきりと申し上げられませんけれども、通常国会中には提出したいと考えております。
朝日新聞の小泉です。来年度予算についてお伺いします。
  地方の消費者行政活性化で30億円という予算がついたわけですけれども、まずこの評価と、今後、地方でこのお金を使っていろいろやっていくと思うのですけれども、どのような体制にしていきたいかという長官の思いを教えてください。
食品偽装の問題ですとか、高齢者の消費者被害が急増しているという状況を踏まえますと、消費者行政の現場である地方公共団体が、消費者の安全・安心確保のための取組を推進するということが一番いいやり方だと考えて、この30億円の地方消費者行政活性化交付金を措置しました。これを使っていただいて、消費生活センター、そして消費生活相談窓口の設置や消費生活相談員の研修など、トラブルに遭ったときに安心して相談できる社会基盤づくりを進めたいということが一つです。
  また、地域ネットワークを構築、消費者教育の普及啓発の推進等、消費者問題解決力の高い地域社会づくりを進めていくことが二つ。
  三つ目には、国が提案します先駆的なテーマに関する事業を引き続き推進していただきたいと考えております。
  しかしこれまでは、地方消費者行政活性化交付金は補正予算が中心の措置でありました。昨年、ようやく5億円の当初予算の措置ができたのですが、この補正予算の中心の措置をとりますと、地方公共団体にとっては毎年度の予算措置の見通しが非常に不透明になってくるという状況がありました。そこで、取組を計画的に、かつ安定的に行えるように、当初予算に30億円を措置したわけですが、地方にとっても大変いいことではないかと思います。
ありがとうございます。
  別件なのですけれども、来年は消費税の増税があります。物価モニターの話もありましたけれども、転嫁の問題について消費者庁としてどのように取り組んでいかれるか、お考えをお聞かせください。
これも当初予算で要求していることですが、消費税価格転嫁対策に必要な経費として措置をしております。まずは、転嫁対策特別措置法の8条に基本的な考え方が示されていますが、それですとか、具体的な事例を記載したパンフレットを作成して配布するということ。また、事業者団体が開催します講習会の支援のための経費を考えております。さらに、8条に違反する行為を行う事業者に対して、立入検査等の調査、そして監視をするための経費も要求しております。それが5,100万円くらいです。
最後にもう1点、公益通報者保護法の関係なのですけれども、先般、内部通報経験者の濱田さんたちが消費者庁にいらっしゃって、いわゆる秘密保護法との関連で、秘密保護法が成立したことによって内部通報が委縮してしまうとか、このままでは内部通報ができないので、早急に公益通報者保護法の改正を進めてほしいという要請に来ました。これについて、まず長官のお考えと、法改正について今どのような状況にあるのかということを教えてください。
濱田さんたちが要請に見えました。特定秘密保護法との関係については、森大臣からお話があったと思いますけれども、公益通報者は守られる仕組みになっているということであります。その公益通報者保護法の見直しについては、この前、消費者庁でアンケート調査をしましたけれども、それについての御意見をいただいておりますので、それらを踏まえて、今、内部で検討しているところです。
  現在は違反した場合の罰則もないわけですが、これから、保護法に基づいて、内部通報がより正しい理解のもとに行われ、通報者が保護されるようにしていくというのは、非常に重要なことだと考えております。要請も受けましたので、検討して、どのような進め方をしていくのかということを、もうしばらくしたらお話しできるようになると思いますので、もう少し待っていただきたいと思います。
共同通信の橋本です。
  消費者庁としてこの1年間というお話が最初にあって、法案もあり、食品の偽装の話もあったと思うのですけれども、長官としてこの1年間の仕事をどう振り返られますでしょうか。
本当に予想以上の大変な年だったと思っています。けれども同時に、今まで4年間、消費者庁の職員や関係者はすごく努力をしてきましたが、そうした積み重ねの中で、消費者庁はいま、新しい地平に到達しているのではないかと感じています。
  それはどういうことかといいますと、消費者庁の司令塔機能ということがずっと言われてきたのですけれども、今回の食品表示偽装の問題などは非常に見やすく、具体的に示しているのではないでしょうか。2回ほど、関係府省庁全員に集まっていただいて、この問題についての対応方針を、対策パッケージとしてまとめたわけです。これによって、消費者庁が中心になって、正に司令塔として機能している姿を世の中にお示しできたのではないかと思いますし、消費者庁はそれを学んだと思うのです。こうした観点から、新しい段階に入っているのではないかと思っているわけです。
  また、私は、消費者庁の政府としての仕事は、言い過ぎかもしれませんけれども、虚業的なものではなくて実業の段階に入っているのではないかとも感じています。要するに、頭の中で、机の上で、制度を考えていく、施策を考えていくという段階を超えて、実際にやっていく、行動していくという、正に実業の段階というものに入ってきているのではないかということです。もう何年かすれば、あの時点がそうだったのかということが分かるかと思うのですけれども、この瞬間というものを大事にしたいと思っています。ここで高まった期待を裏切らないように、更に一生懸命消費者庁としてやっていきたいと思っています。御協力のほどもよろしくお願いします。
  皆様方はいろんなことを、消費者庁と一緒に注意喚起してくれたり、食品表示偽装についても様々にマスコミュニケーションしてくれましたが、それって物すごく消費者庁に対する国民の理解を広げたと思います。感謝しております。
  そんなところの感想ですが、どうでしょうか。
毎日新聞の大迫ですが、表示偽装のどこが司令塔機能を発揮されたのか、ちょっと私は分からなかったので教えてください。
  もう一つは実業の段階というのはどういうことですか。
まずは司令塔機能のところですが、一体司令塔機能って何なのかと考えてきました。様々な省庁にそれぞれの所管業務がありますけれども、そこの中で食品表示偽装というのは、様々な省庁に関わる問題として起こったわけで、ほとんどが関わっていますし、地方自治体も関わっています。そうしますと、誰かが司令塔になってそれをまとめて、みんなの協力のもとに解決していくことが必要になりますが、その役割を消費者庁が果たしたということです。
  ですから、問題をまとめて情報をみんなで共有して、関係するあらゆる政府機関が一体となって対応していくというための中心になるものが司令塔機能ではないかと思いましたので、そのように言いました。
  それと、実業。適切な言葉が思い浮かばないのですが、政策立案だとか、法律改正だとか、そういうことをずっとやってきました。これからもますます必要な部分があると思いますけれども、そういう議論をして、こうだったらいいよね、こういう制度があれば、もっと消費者の安全を確保できるのではないかということを制度として決めていきます。
  私が言いましたのは、制度として決める、それで終わりではなくて、その制度を有効に生かして、実際に消費者を救っていく、消費者の安心・安全を確保していくためには、これは地方の協力も絶対必要なことですけれども、生活の現場で、具体的な消費者施策、行政施策というものがなければ、これはだめだと思うのです。例えば、消費者庁の表示対策課が景品表示法に基づいて、様々な調査に入っていく、あるいは事業者さんの啓発、勉強会に参加して事業者に勉強してもらう、また職員が地方自治体に行って、行政の方たちと一緒にその自治体の問題は何かということを考えながら一緒に情報を共有し、学びながら具体的な施策を打ち出していくということが、私は実業だと思ったわけです。虚業というのは、ちょっと言い過ぎだとは思いますけれども、そういった点で実業と虚業みたいなものだと思いましたので、そう言いました。
話変わるのですが、先週、消費者事故調がありまして、新しい誤飲事故がテーマだと思うのですけれども、その際、今回のテーマは事案を絞るわけではなくて、テーマを1つ決めて、そこから情報収集していくという新しいやり方というふうに言っていましたけれども、そのやり方、手法について長官としてどういうふうに思われたか。
子供の医薬品の誤飲事故が多発しているということで、テーマ選定することを決めたと承知しています。誤飲事故がかなり広がっているそうですが、それをテーマ選定して、様々な事例の情報を集めて、その中で、そこで共通した問題点とは何なのかということを探し出していく、また、再発防止のための共通した施策というのはあるのか、ないのか、どんなことを考えたらいいのか、それは制度面の問題に及ぶかもしれませんけれども、そういったことを調査していくということだと思います。
  子供の医薬品の誤飲事故って、私はおもしろいなと思ったのですけど、件数の多いタバコの誤飲とは違う面があるそうで、子供が薬を積極的に、自分で探し出して、そして一気飲みしてしまうというような例もあると聞いています。そういった点で言うと、子供への薬の摂取のさせ方というのは、どういう注意が必要なのかって、結構おもしろいといったら悪いのですけれども、重要なテーマになってくるのではないかと思いました。
あれほど事故が多いのであれば、消費者庁として、本体のほうとして、実際に調べて注意喚起するという方法もあると思うのですけれども、その辺はどのように。
それもあるかと思いましたけれども、実は、調査委員会の中には、この前一つ部会が増えています。
食品・化学・医学等部会ですか。
この部会には、かなり専門家の先生方もいらっしゃって、知見も豊かでいらっしゃるので、ふさわしいのではないかと思っています。
申し出にすれば、選ばれてきたのだと思うのですけれども、そこら辺については。
そうですね。お申し出された事案については、それぞれ一つ一つ検討しています。
  選定できないということがあれば、それについてお答えして納得いただくために、一つ一つ丁寧にチェックしておりますので、それは十分にできていくことと思っております。
関連なのですけれども、来年度予算で軒並み満額以上の回答だったと思うのですけれども、唯一事故調の部分だけ予算が大分減らされていた。査定の段階でこんなものだという言い方はできるのかもしれませんけれども、実際、マイナスになっているというのは、そういう評価なのかなという気がするのですが、そこら辺を踏まえて、長官として事故調にどういうふうな期待をしているのか、どういうふうに来年1年やってもらいたいのかということで。
消費者事故調査室の予算は減額されていますけれども、数というのは目標ではなくて、これくらいを想定しているということなので、自ら調査は20件、他省庁の調査結果の評価10件を想定して予算案を作成しております。今までの実績をもとにしながら計算してはじき出した数字ということになります。
  当初の事故調設置のときの予算とはかなり減っていますけれども、できる数字ということでやりました。

  本当に皆さんにはこの1年大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。厳しい寒波も来ているようですので、是非暖かくしてよいお年を迎えていただきたいと思います。来年までお元気で、ありがとうございました。

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